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===概要=== かつては洋画や海外ドラマの吹き替えが主たる業務で、俳優の兼務が中心であった。1970年代以降のアニメブームにより、アニメやラジオドラマなどの領域に仕事が拡大したことから、アニメ専業の声優が誕生している。1990年代からはテレビゲームのメモリ容量が増加し音声を入力できるようになったことからゲームの仕事も増えているほか、1990年代中頃からの歌のCDを発売したりコンサートを開催するなど、歌手活動もする声優が増えている(後述)。 ====無声映画と活動弁士==== 19世紀後期に映画が発明された時代にはフィルムに音声を同時収録する技術がなかったことから、商業的に世界各国で製作公開されていた映画はすべてが無声映画(サイレントフィルムsilent film)であった。このため、映像中にト書きのセリフ画面を挿入するカットタイル技法が考案され、欧米ではこのカットタイルと伴奏音楽によって上映されていた。しかし日本に輸入された映画では言語の壁もあって観客に外国語を読める者が少なかったこと、また日本では落語、人形浄瑠璃、歌舞伎といった話芸や口述文化が発展していたこともあって、映画上映の際には説明を担う話芸者が口頭で説明するスタイルが定着していった。このように映画作品の内容にあわせて台本を書き、上映中に進行にあわせてそれを口演する「活動弁士」なる職業が誕生し、徳川夢声、大蔵貢、生駒雷遊、山野一郎、牧野周一、大辻司郎といった人気弁士が活躍していた。ところが、1927年に映像と音声が同期したトーキー(サウンドフィルムsound film)が誕生すると、活動弁士は不要となってしまい、大半の活動弁士が廃業に追いこまれていった。その多くが漫談や講談師、紙芝居、司会者などに転身したとされている。<br /> こうした一方で、1933年には日本初の短編アニメーション映画『力と女の世の中』が制作され、喜劇役者の古川ロッパをはじめとする映画俳優に加え、活動弁士出身の徳川夢声、山野一郎などが吹き替えを担当している。 ====ラジオ時代と声優ブーム==== 無声映画と入れ替わるように、1925年に[[NHK]]の前身である社団法人東京放送局がラジオ放送を開始した。このときラジオ番組のひとつとしてラジオドラマが制作されたが、声だけで演技を行う専門の俳優として「ラジオドラマ研究生」が公募されている。<br /> ラジオドラマの大成功を受けて、1941年に[[NHK]]はラジオドラマ専門の俳優を養成する東京中央放送局専属劇団俳優養成所の研究生を公募し、1942年に東京放送劇団の1期生がデビューしている。彼ら声専門の俳優を「声優」と呼び始めたのはこの頃からである。<br /> 戦後になり1951年に民間ラジオ局であるラジオ東京<ref>現在のTBSラジオ</ref>が開局し、連続ラジオドラマ『赤胴鈴之助』が子供たちの熱狂的な人気となった。こうしたラジオドラマ全盛時代には、声優の紹介記事が新聞のラジオ欄に掲載されており、憧れの職業として声優志願者も急増していった。1953年のNHK東京放送劇団の第5期生募集(定員10名)は6000名以上の応募者が殺到したという。 ====テレビ時代==== テレビ時代になってからは声優は吹き替えとアニメを行う役者を指す用語として定着していった。1960年代に民放テレビ局が続々と誕生すると、日本のテレビ局は日本映画との対立もあって絶対的なソフト不足に陥った。このためテレビ局では、積極的に海外ドラマや洋画を導入しその日本語吹き替え版を制作することとなったため、声優の需要は急増した。この頃、世界的映画スターであったアラン・ドロンやD・マッカラムの吹き替えを担当した野沢那智や、クリント・イーストウッドの吹き替えを担当した山田康雄、トニー・カーチスの吹き替えを担当した広川太一郎ら人気声優となった。一方で、急増する需要に対して声優が粗製乱造であった面は否めず、舞台役者が吹き替えの仕事を片手間のアルバイトでやるような状況であり、放送劇団出身のいわば正規の声優であった若山弦蔵は幾度となく苦言を呈する状況であった。このように、その人気とは裏腹に声優全体の地位は決して高いものではなかったが、1960年に東京俳優生活協同組合(俳協)が設立し、声優の身分安定が図られていく。後に俳協から分かれるような形でて多くの声優専業の事務所が結成されていった。<br /> 1963年に日本初の商業用テレビアニメ番組『鉄腕アトム』が放映されて以降、テレビマンガというジャンルが子供達の間で人気コンテンツとなった。これはテレビ草創期の番組編成は上述のように洋画やホームドラマが中心であったため、子供達が楽しめる番組が不足していたためである。以降1960年代から1970年代にかけてアニメが子供を対象とした唯一の番組であった。『鉄人28号』『エイトマン』などSFヒーローものに加え、『オバケのQ太郎』『おそ松くん』『天才バカボン』などのギャクアニメ、『巨人の星』『アタックNo.1』『あしたのジョー』など 「スポ根」もの、女児向けの『魔法使いサリー』『ひみつのアッコちゃん』などが人気となった。<br /> ====第二次声優ブーム==== 1974年に『宇宙戦艦ヤマト』のヒットにより、従来の視聴者層よりやや高い年齢層を中心とした史上空前のアニメブームが起きた。このアニメブームによりアニメ雑誌が創刊され始め、『アニメージュ』創刊編集長であった尾形英夫氏が声優のアイドル化を編集方針の一つとして打ち出したこともあって、アニメ声優も同時に注目されることとなった。これにより1980年代前半にかけて'''第二次声優ブーム'''となったが、上述の『宇宙戦艦ヤマト』に加え『[[機動戦士ガンダム]]』のブームとほぼ同時期に該当し、別の言い方をすればロボットアニメに登場する「美青年ブーム」と言えるほどに男性声優の人気が高かった時代であった。代表的な声優として[[神谷明]]、水島裕、古谷徹、古川登志夫など、アニメの美男子キャラクターを持ち役とする声優が人気となり、ライブ活動を行ったりレコードを出すなどした。女性声優では潘恵子、戸田恵子、麻上洋子、小山茉美らが人気となった。この時期、『アニメージュ』以外の他のアニメ誌も同様に誌面に声優コーナーを設けて、定期的に声優の情報を発信したほか、声優専門プロダクションが分裂を契機としてではあるが数を増やしたこともあって、各プロダクションが自社の声優養成所を設けて人財育成する傾向がみられるようになった。こうして放送劇団出身者や舞台役者などの俳優活動の一環や余技としての声優業ではなく、最初からアニメ声優を目指した声優が登場し始めたとされている。<br /> なお、1988年にテレビアニメ『[[鎧伝サムライトルーパー]]』では美形の男性キャラを担当する美声の主演声優陣が当時の女性ファンの絶大な支持を得て大ブレイク、いわゆる[[腐女子]]に大人気となった。キャラクターを演じた草尾毅、佐々木望、竹村拓、中村大樹、西村智博<ref>現:西村智紘</ref>の5人の声優によるユニット「NG5」が結成され、当時の声優のCDとしては大ヒットし、コンサートに女性ファンが殺到する一大ブームとなった。 この人気はアニメ業界だけではなく、ドキュメンタリー番組やニュースなど多くの一般マスコミで取り上げるほどだったが、肝心のアニメがメインターゲットとした男子ウケがすこぶる悪かったこともあって、その人気は「NG5」のみに限定されてしまい、声優界全体のブームとはならなかった。しかしながら声優がマルチ活動をするようになった先駆的グループであり、後の第三次声優ブームの布石になったといえる。 ====第三次声優ブーム==== バブル期の芸能シーンは男女ともにアイドルブーム全盛であったが、1990年代に入ると音楽シーンは本格派バンドブームを迎えたこともあって、アイドル全体が下火となっていった。とりわけ女性アイドルは、おニャン子クラブに代表される身近なアイドル戦略影響もあって偶像性が薄れてしまい「アイドル冬の時代」を迎えることとなった。<br /> それと呼応するかのように1993年頃より声優の露出が増加していき、さながら'''第三次声優ブーム'''と呼べる状況となった。とりわけ女性声優のアイドル化・マルチ活動化が進行していったのが大きな特徴で、1994年に初の声優専門誌『声優グランプリ』『ボイスアニメージュ』が創刊、1995年には声優専門のテレビ番組『声・遊倶楽部』が誕生するなどアイドル化が進行していった。<br /> このブームで人気となった声優の多くが、ラジオパーソナリティとしての活動を通じてファンを獲得して、発売したCDの売り上げがオリコンランキング上位に食い込み、また大ホールでコンサートを開催するといった傾向があり、声優の資質としては声の演技力のほかにも容姿の良さや歌唱力なども求められるようになっていた。歌手活動での活躍が目覚しく、椎名へきるは女性声優としては初めて単独で武道館公演を行うなど大活躍し、[[林原めぐみ]]もヒット曲を連発する人気アーティストになった。そのほか國府田マリ子、三石琴乃、久川綾、櫻井智、宮村優子、[[井上喜久子]]らがこうした成功の先駆的な存在であった。このブームはおおむね1994年頃から1998年頃までで、その最高潮は『[[新世紀エヴァンゲリオン]]』ブームや『[[美少女戦士セーラームーン]]』人気であった。しかし1999年頃にブームを支えた女性声優が立て続けに結婚したことと、[[広末涼子]]や[[モーニング娘。]]など本来のアイドル人気が復活したこともあって、ブームは急速に縮小していった。 ====アイドル声優・声優アーティストの時代==== 21世紀に入り[[秋葉原]]を中心とした[[オタク]]文化が爛熟していくにつれ、実際には第三次声優ブームの時代から連綿として需要があったアイドル的声優の登場が渇望されていた。こうした背景のもと、声優としての声の良さの他にも、ルックス、歌唱力、パーソナリティなど様々な面で高い水準であり、声優業だけでなく、歌のCDを発売したりライブを開催するなど歌手活動をする、声優専門誌のグラビアに登場する、写真集やイメージビデオを発売する、などといった幅広い活動を行う声優、すなわち職業アイドルとしての意識を持った'''アイドル声優'''の時代となった。「アニメ出演」「ラジオ番組(アニラジ)出演」「歌手活動」の3本柱がアイドル声優の大きな特徴であるといえる。[[堀江由衣]]や田村ゆかりはこの時期に登場し、2010年代にあっても揺るぎ無い鉄壁の地位を築き上げ、未だその地位に君臨し続けている。<br /> また、この頃からアイドル声優ファンの行動として「好きな声優のCDを買う」ことが重要視されるようになった。J-POPなどの音楽市場が急速に売り上げを落とす中で、声優がリリースした楽曲がオリコンチャートの上位にまで登場するようになり、声優アーティストとカテゴライズされるようになった。その代表的な存在である水樹奈々は、『[[魔法少女リリカルなのは]]』で大ブレイクを果たし、アーティストとして[[NHK]]紅白歌合戦にも出場している。また2006年の『[[涼宮ハルヒの憂鬱]]』を契機として[[平野綾]]や茅原実里が声優アーティストとしてブレイクし、その歌唱力とルックスなどを武器に高度なレベルで競い合っている。この時期、インターネット環境が従前のダイヤルアップ接続からブロードバンドへ急速に拡充されると、[[2ちゃんねる]]などネット上のファン活動も無視できないものとなっていった。『[[魔法先生ネギま!]]』関連CDの売り上げが度々オリコンチャートに登場する現象は、一般メディアにも取り上げられ世間から注目されるようになった。また、2007年あたりからアニメ・ゲーム関係の[[オタク]]文化は、少数の濃いファンによるマニアックなものではなく「ライトオタク」と呼ばれる層へと拡大していった。『[[らき☆すた]]』や『[[けいおん!]]』といった作品は広く一般層にまで知られるようになっている。このようなマーケットの拡大は、声優志望の若者を大幅に増やす結果となったが、それ以上の勢いでアニメ市場は拡大を続けておりとりわけ深夜帯のアニメ放映本数は拡大する一方であるため、次々と誕生する新人声優の供給をかろうじて吸収している状態である。21世紀も10年が経過してアニメファンの代謝も起きていることが推測されるにもかかわらず、10年前に第一線であった[[堀江由衣]]、田村ゆかり、水樹奈々らはいまだトップの地位を占めており、毎年のように供給される新人を含めて、新旧入り乱れて一種の声優飽和状態となっている。<br />
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